質屋がテレビに出る悲劇

先日、質屋が有名芸能人のお宅にお邪魔して商品を査定する番組が放送されていました。

私自身、かつて一度だけテレビで同じようなことをして「二度とやらない」と思ったのでそのことを思い出してしまいました。この手の企画は買取を生業とするものにとって悲劇なのです。

個人的経験では質屋がテレビでこういった査定をする企画をするとデメリットのほうが大きいと思うからです。とくに、マスコミと言うのは良くも悪くもそれを見ている人にあたかも真実かのように影響に与えてしまいます。それがたとえ「演出」という名前の「やらせ」であっても。

本来、テレビ局にとってのお客様であるスポンサーとの共同企画の場合、マスコミはスポンサーのイメージアップなどを目的を達成するために、スポンサーに不利益にならないように配慮した番組を作成するはずです。

なのに、結果的には、この手の買取企画は往々にしてマイナスイメージを植え付けてしまっています。
これなら、やらないほうが良いと思うのです。

ただ、中には過剰演出を超えたやらせが横行した「ええ!そんなに高く買い取ってくれるの!」というのよりは、今回の番組のほうが皮肉にも「誠実」ではあったと言えます。

番組では有名芸能人の方が数々の品物を査定してもらうという流れだったのですが、何回も
「査定額が安い!」という言葉や表情が全国ネットで公開されておりました。

この芸能人の方の反応は、私が日々店頭でお客様から言われることと全く同じ反応です。

番組に出ておられた質屋さんの査定金額が特段安かったわけではありません。程度の差はあっても決してぼったくりのような査定額とまではいかない金額でした。

しかし、お客様たる芸能人の反応は違いました。

「これ、いくらで買ったと思ってるの?」

そうです。芸能人の査定額の高いか安いかの判断基準は「購入金額」に対して査定額がいくらなのかなのです。

10年前であっても、最近であっても関係ありません。購入金額に対していくらかがポイントなのです。

ということは、いくらテレビの質屋さんが高額査定しても、絶対に購入金額を上回ることはない※のですからどうしても、売る側のお客様としては「査定額が安い」と思われる可能性が大なのです。
※金などは別ですが。

次に、売る側たるお客様の基準は「この金額なら売ってもよい」という希望金額です。

しかし、この希望金額はなかなかお客様自身の中でも不明確です。なぜなら、自分でも判断がつかないからです。そして、査定額を聞いて初めて自分の中の売ってもよいという金額が明確化されるのです。

人間の心理としては、いくらでもいいから買い取ってほしいという場合でも、「では、1000円で買い取ります」とお伝えすると「たった1.000円!もうちょっとなんとかならんの?」と前言撤回する場合が多々あります。

つまり、「いくらでもよい」というのは「1.000円」ではないのですね。じゃあ、いくらで買い取ればよいのかというと「せめて10.000円はあると思っていた」と話が展開するわけです。もちろん、本当に最初から10.000円あると思っていたかというとほとんどが後付といってよいと思います。

このように、質屋側としては精一杯の高額査定を行っても、ほぼほぼお客様の納得される査定額をご提示するのは難しいのです。

そして、この現実を踏まえて、お客様に納得頂けるサービスを日々提供する必要があると感じています。

それにしても、質屋も全国番組の企画で芸能人のお宅で査定するということができるということ事体は本当にこの質屋様の企業努力を素直に素晴らしいと思います。なんとか、質屋のイメージアップというか利用者の増加につながる企画ができないものかと日々思います。